クラスへの誘い

バロックダンス・クラスへの誘い

  • バロックダンスとは?

 バロックダンスは、17~18世紀ヨーロッパの舞踏会や劇場で踊られたダンスです。舞踏会では王侯貴族たちが社交や自らの楽しみとして踊り、オペラやバレエといった劇場の舞台ではプロフェッショナルのダンサーたちが自らの技巧と美を追求して踊っていました。

 バロックダンスが誕生したのは、17世紀フランスの国王ルイ14世の宮廷です。フランス独自の洗練された宮廷文化を作り出す政策の一環として、このダンスは生まれました。フランスの宮廷文化が花開き成熟すると、他のヨーロッパ諸国もその文化をこぞって取り入れるようになり、このダンスもまたヨーロッパ全土へと広く伝わってゆきました。

 絶対王政が終わりを迎え19世紀に市民社会となると、バレエやダンスのスタイルもまた大きく変化しました。この変化から、今日の私たちがロマンティックバレエやクラシカルバレエと呼ぶバレエのスタイルが現れてきました。スタイルは時代によって変化を遂げましたが、その歴史的な繫がりによって、バロックダンスは今日の私たちがクラシックバレエと呼ぶ舞踊の原点のひとつとされています。

 このような舞踊の歴史を踏まえ、当アカデミーはバロックダンスをレッスンするクラスを設置しています。

  • どの様な方に関心を持っていただけるか?

 バロックダンスは、クラシックバレエほどには広く知られてはおりません。そのため「どのような方々がバロックダンスのレッスンを楽しめるのか、あるいは役に立てることができるのか分からない」というご感想があると思われます。バロックダンスのレッスンは、以下のような方々にご興味を持っていただけるものと思っております。

《クラシックバレエに関わる方》

バレエを習われている方、ダンサー、バレエの先生

  • 「バレエが大好きなので、そのルーツのダンスも踊ってみたい。」
  • 「バレエのルーツを踊る経験をダンサーとしての自分の表現に活かしたい。」
  • 「バレエのルーツを踊る経験を通してバレエへの理解を深め、生徒たちにより深い指導ができるようになりたい。」

 このようなご希望をお持ちの方に、バロックダンスをお勧めすることが出来ます。バロックダンスはクラシックバレエの歴史的ルーツのひとつです。バロックダンスを踊られると、クラシックバレエとの共通点や相違点など様々なことに気が付かれると思います。このご経験を通じて、長いバレエの歴史への理解を深められることと思います。

《クラシック音楽に関わる方》

ピアノやヴァイオリンをはじめとした楽器を習われている方、演奏家、先生方

  • 「バッハなどのバロック音楽が作曲された時代のダンスを踊ってみたい。」
  • 「知識だけではなく実際に身体を使ってバロック音楽のダンスを踊り、その経験を演奏に活かしたい。」
  • 「バロック音楽の舞曲の演奏法を生徒さんに教える必要がある。自分で実際に踊った経験を基に深い指導に役立てたい。」

 このようなご希望をお持ちの方にも、バロックダンスをお勧めすることが出来ます。「メヌエット」「ガヴォット」「ブーレ」などバロック音楽の舞曲をレッスン致します。ご自身で踊ることによって、各種舞曲の特徴を身体から理解できることと思います

《クラシック音楽がお好きな方》

クラシック音楽、とくにバロック時代の音楽がお好きな方

  • 「ダンスを踊って、大好きなバロック音楽をさらに一段と深く楽しみたい。」

 このようなご希望をお持ちの方にも、バロックダンスをお勧めすることが出来ます。バロックダンスは、17~18世紀に制作された振付をその当時に書かれた舞踏譜(ダンスの振付を記した譜面)に則って踊ります。まさに17~18世紀の宮廷人たちが踊っていた振付を踊ることが出来ます。バロック時代の音楽への好奇心に適うものと思います。

18世紀の舞踏教則本より

《コラムー1ー》 

クラシックバレエとバロックダンスのつながり
〈ルドルフ・ヌレエフ〉

 バロックダンスに興味を持ったダンサーのひとりにルドルフ・ヌレエフがいます。彼は20世紀を代表するバレエダンサーであり、バリ・オペラ座の芸術監督も務めた人物です。バロックダンスがクラシックバレエのルーツであることから、彼はこのダンスに大きな関心を寄せました。その関心は一つの振付作品の制作へと結実しました。バロックダンスを専門とする舞踊史研究者フランシーヌ・ランスロに、バッハの無伴奏チェロ組曲を音楽に用いたソロの振付の制作を委嘱したのです。

 その振付はバロックダンスの所作を取り入れた作品で、ヌレエフ自身が1984年4月にパリのシャンゼリゼ劇場で踊りました。この振付の詳しい制作経緯は以下の「ルドルフ・ヌレエフ協会(The Rudolf Nureyev Foundation)」のWebサイトでご覧になることが出来ます。

The Rudolf Nureyev Foundation

《コラムー2ー》

バロックダンスとコンテンポラリーダンスの融合
〈パリ・オペラ座ーバレエ学校〉

 パリ・オペラ座のバレエ学校は、2019年の学生出演の公演でバロックダンスとコンテンポラリーダンスのスタイルを融合させた振付作品を上演しました。タイトルは《D'Ores et déjà(これから)》。音楽は18世紀フランスの作曲家ラモーの曲。「今シーズンの作品は、様々な時代のスタイルとテクニックの旅を贈る」という趣旨の許、この振付作品が踊られました。

 2019年3月~4月に上演されたこの振付作品の一部の映像が、以下のサイトでご覧になれます。ご覧ください。(以下の2つのリンク、どちらでも同じ動画をご覧になれます。)

PARIS OPERA BALLET SCHOOL PRODUCTION
YouTube動画 《D'Ores et déjà》

《コラムー3ー》

バロックダンスの現代の広がり
〈バロックダンスのカンパニー〉

 18世紀以来忘れられていたバロックダンスは20世紀に研究を通じて復活しました。復活後は研究のみならず、普及活動や公演活動も進むと、ヨーロッパやアメリカではバロックダンスのカンパニー(舞踊団)も作られるようになりました。

 そのカンパニーのひとつにフランスの「レヴァンタイユ l’Éventail」があります。これはバロックダンスの研究家・舞踊家・振付家のマリー=ジュヌヴィエーヴ・マッセが1985年に創立したカンパニーで、現在まで精力的に公演活動や教育活動を行っています。このカンパニーの公演は日本でも「時空の旅 バロック・ダンス・ファンタジー」というタイトルのDVDとして販売されています(このDVDについてのタワーレコードでの商品紹介はこちら)。

 バロックダンス・カンパニー「レヴァンタイユ l’Éventail」の公式ホームページと公式動画は以下のサイトです。

Compagnie de Danse l’Éventail(公式ホームページ)
Compagnie de Danse l’Éventail / Marie-Geneviève Massé(公式紹介動画)
"Don Juan" par la Compagnie de danse baroque l'Eventail(公式公演動画[抜粋])
18世紀後半の舞踏会の様子

(バロックダンスの説明、およびクラスの説明は当ホームページ内の「クラスの紹介」のページに掲載しております。そちらをご覧ください。)

メインメニュー